むし歯 / 予防歯科 /
- Q
- かかりつけの歯医者では虫歯がないといわれたのですが、学校検診で虫歯有りとされました。なぜ?
- A
-
この相談はとても多いです。そろそろ大津市でも始まっているのではないでしょうか?私も今月末から始まります。
学校歯科検診は私たち歯科医師が各校を回り検診します。専門家である歯科医師が診るのだから
歯科医院での診察と同じだと思っているかも知れませんが、じつは違うんです。
1.時間が短い
学校検診では1人1~2分程度でみていきます。歯科医院の検診では1人20~30分程度の時間をかけます。
2.見えにくい環境
学校検診は多くの場合、子供と歯科医師が向かい合わせに座り、お口の中をのぞき込む形
で検診します。中は暗く、特に上の奥歯は非常に見づらい状況です。私は個人的に医院で
使用しているヘッドライトを持参していますが、やはり歯科医院で診るのとは全然違います。
3.レントゲンがない
歯の病気の大半は歯や骨といった硬い部分に起こるので、目で見るだけでは診断がつかないことが多く、きちんとした診断にレントゲンは必須です。
4.汚れが残っている
歯科医院での虫歯チェックは、あらかじめ歯科衛生士が歯の表面のネバネバ汚れをきれいに取り除いてから行います。学校歯科検診でも、一応自分で歯ブラシしてから受診しますが、汚れがついていて「あまりよく見えない」というのが本音です。
以上のように学校では条件の整わない中で検診を行います。見落としが無いように努力していますが、精度の高い検査を行うことは実質困難な状況です。「そんなことはけしからん!」と思う人がいるかも知れませんが、それはちょっと違うのです。なぜかというと、学校歯科検診というものはあくまでもスクリーニング検査*1だからです。(*1:「ふるいにかける」という意味で、ある病気にかかっている可能性の高い人を見つけてる検査)「それっぽい人」「確率が高そうな人」を見つけて、精密検査につなげることが目的なのです。そもそも病気を100%検出できる検査などというものは存在しません。逆に言えばある一定の確率で見落としが生じる仕組みになっているのです。検診ってそういうものなのです。というわけで、残念ながら学校で検診を受けて「むし歯にチェックが入ってなかったから大丈夫」とはいえないのです。
という位置づけであることを理解しておかなければなりません。
かかりつけの歯医者だったら大丈夫だったのに......
逆に「この間、歯科医院で診てもらってOKだったのに、学校歯科検診でチェックが入ってきた。これってどういうこと?」という事もあります。これにも理由があります。学校歯科検診では見づらい条件の下で異変を見つけようとするわけですが、時として「これってどうかなぁ、OK?NG?どっちだろう?」と悩むことがあります。そんな時はNGにすることが多いです。だって、もしOKにしてしまうとその子は歯科医院でしっかり調べてもらうチャンスを逃してしまうことになるからです。そもそも検診は疑わしい人に精密検査を受けてもらうという目的でやっているので、疑わしきはNGなのです。普段から、定期的に歯科医院でチェックを受けているのであれば、そちらの検査の方が信頼性が高いので心配ありません。
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